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中国で不動産市場に対するソーシャルレンディング規制が広がる

投稿日:2016年11月27日 更新日:

中国の不動産市場の価格が高騰し、庶民の手に届かないものになっていることが問題視されています。

中国政府は一般市民の支持を得るため、住宅価格の抑制策を進めていますが、その中に面白いものがありました。

ソーシャルレンディングやクラウドファンディングによる住宅の購入の規制です。

まだ、市場規模が小さいソーシャルレンディングを規制の標的にしたのは、面白いところです。

フィンテックが経済の中で大きな位置づけを占めるにつれて、政策当局が政策目的を達成する手段としてソーシャルレンディングやクラウドファンディングにまで規制を広げてくる様子がうかがえます。

 

日本もいずれ、景気のテコ入れにソーシャルレンディングを後押しするような政策が取られるようになるかもしれませんね。

 

それでは中国のソーシャルれんぃんぐ規制から、どんな内容か見てみましょう。

 

上海市のクラウドファンディング規制

住宅市場が過熱の様相を呈した上海市と深圳市は、2016 年3 月25 日に、住宅価格抑制策を発表しました。

上海市では、2 軒目の住宅購入者に対して、住居条件の改善を目的に自己居住用一般住宅を購入する際の頭金比率を最低50%以上に、非自己住居用一般住宅を購入する時の頭金比率は最低70%以上に引き上げるとしました。

2件目の住宅を持つというのは、投資目的とみなされるので、投資目的不動産を買いにくくすることで、価格の高騰を抑えようとするものです。

この規制は2件目にしかかからないので、1件目の住宅を買おうという庶民には影響がなく、むしろ投資目的の購入希望者と競合しにくくなる分だけ、安い値段で住宅を買いやすくなるということを目的としています。

上海市に戸籍を保有しない世帯の住宅購入条件を厳しくし、さらに不動産会社や仲介会社による「首付貸」やブリッジローンなどの住宅ローン業務を禁止する措置を講じています。上海市内に戸籍を持たない人は投資目的の購入者なので、そうした投資家の資金調達を制限するという政策ですね。

深圳市のソーシャルレンディング規制

上海市の対策は、投資目的の不動産購入に対する資金源を絞るという意味で合理的に見えますが、面白いのが深圳市のソーシャルレンディング規制です。

深圳市はネット金融や小口貸出会社などに対して、「首付貸」やソーシャルレンディングやクラウドファンディングによる住宅購入を停止することを求めました。

ソーシャルレンディングによる住宅購入が、投資目的とみなされていることがよくわかります。

ただ、一般市民がクラウドファンディングで資金調達して、夢のマイホームを持つってことも規制されてしまっていることには違和感を持ちますが・・・

深圳市は他にも、ブリッジローンなどの住宅ローン業務の停止を要求したほか、以下の内容を求めています。

  • 社会保障費を3 年(従来は1 年)以上継続して納付した、同市戸籍を保有しない居住者に対しては、1 軒の住宅購入を認める(3 年未満の場合は住宅購入を認めない)
  • 既に住宅を1 軒保有し、そのローンを完済した戸籍保有者に対し、2 軒目の住宅ローンの頭金比率を最低40%(従来は30%)以上とする

中国の不動産市場の過熱度

それでは中国の不動産市場はどの程度過熱しているのでしょうか。全国70 都市平均の新築住宅価格(前年同月比)は、2015 年10 月に14 ヵ月ぶりにプラスに転じた後、2016 年9 月には11.2%の上昇となりました。

中国政府は、住宅価格の上昇率が、都市一人当たり可処分所得の伸び率を下回ることを価格抑制の目途としています。収入の伸びより不動産の上昇率が引けければ不動産は買いやすくなる、反対に不動産の価格上昇スピードの方が賃金上昇より早ければマイホームはどんどん持ちにくくなるってことです。

しかし、2016 年1 月~9 月の都市一人当たり名目可処分所得は前年同期比7.8%増であり、住宅価格上昇は既に当局の警戒を喚起する水準を大きく超えています。

今回の住宅価格上昇の契機となったのは、中国政府による住宅市場テコ入れ策でした。

中国当局は不動産バブルと長年戦っており、過去に何度も不動産市場を抑制する政策を導入しています。その効果で住宅販売金額は2014 年に前年比7.8%減となり、 2015 年1 月~2 月は前年同期比16.7%減に落ち込み、70 都市平均新築住宅価格は2015 年3 月と4 月に前年同月比6.1%下落となるなど、住宅市場は冷え込みました。

しかし、中国経済が不動産以外の分野で調子が良いときは良かったものの、現在は製造業などほかの分野も落ち込んでいます。そのため不動産市場に頼る必要があり、2014年9月にはテコ入れ政策を始めます。

中国の地方政府は「土地使用権売却収入」が主要な財政収入であり、これを原資にインフラ投資や都市開発を推進しているので、景気を支えるためには不動産市場の持ち直しが必要なわけですね。

2015 年3 月末の政策では、1 軒目の住宅ローンが未完済の世帯が、2 軒目の住宅を購入する際の住宅ローンの最低頭金比率を、従来60%以上(ティア1 都市と呼ばれる北京市、上海市、深圳市、広州市以外の都市)~70%以上(ティア1 都市)であったものを40%以上へ引き下げ、中古住宅転売の際の営業税の免税起点を保有5 年以上から2 年以上に短縮しました。

二重ローンの条件を緩和し、短期での住宅転売を促進するなど、住宅投資・投機を助長しかねない、政策が始まったのです。
ティア1 の4 都市と海南省三亜市以外では、2015 年5 月末までに、かつての価格上昇局面で発動された住宅購入制限は撤廃・緩和され、2015 年10 月以降は、居住目的の1 軒目の一般住宅の住宅ローンの頭金比率は従来の30%以上から25%以上に引き下げられました。

住宅投資・投機に政府が許可したかのように見える2015 年3 月末の効果は極めて大きく、住宅販売金額は2015 年4 月(単月)には前年同月比で増加に転じ、2016 年1 月~4 月には前年同期比61.4%増となりました。

こうして住宅市場は再び活況を呈し、住宅価格は大都市、次いで省都を中心に大きく上昇したのです。

フィンテックの進化でソーシャルレンディングも政策手段の一つに

こうした中、深圳市のソーシャルレンディング規制につながるわけです。

ソーシャルレンディングも立派になったというか、中国の不動産市場の価格上昇の要因の一つとして認識されるレベルにまでなったのは、感慨深いものがありますね。

やはり、フィンテックが進む中で、経済・金融に占める銀行のシェアが低下しており、従来通りの銀行を対象とした金利コントロールだけでは、不動産市場の抑制などがうまく機能しなくていくのでしょう。

これは中国の話なので、ソーシャルレンディングを規制するって方向での話でしたが、日本の場合は不動産市場を盛り上げたいときにソーシャルレンディングを推奨するような政策が取られる可能性はありますね。

いまから、準備しておきたいものです。

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